2019年11月6日(水)、会津美里町役場本庁舎じげんプラザ2階大会議室にて「まちの資源や魅力を見つけ、新たな地域のにぎわいをつくる」ことを目的としたセミナー『会津美里町魅力づくり勉強会』が開催されました。その様子を3回のレポートに分けてお届けします。

ゲストは、東京の谷中で複合施設「HAGISO」や宿泊施設「hanare」を展開する建築家の宮崎晃吉(みやざき・みつよし)さん。レクチャーでは、これまでの事例を踏まえながら「まちの価値を高める方法」や「まちをひとつの宿と見立てる『まちやど』とは」というテーマでお話が展開されました。

その後続いたのは、コミュニティとの付き合い方や今後のツーリズムの形についての気になるお話です。

「文句を言われる」はチャンス

まちなかで事業を始める時、まず気になるのがコミュニティとの付き合い方。谷中で数々のプロジェクトを回している宮崎さんも、「諦めずに近所の人とコミュニケーションを取る」ことを徹底しているのだそう。

「僕らは地元出身ではないので、活動に対して批判を受けることもありました。でも、文句を言ってくれる人がいることは、むしろチャンス。コミュニケーションを取り続けることで和解し、カフェの常連になってくれたり、近所のママ友を連れて来てくれたりする。結局、『関わりを持ちたい』と思ってくれているということなんです。だからこそ、諦めずにコミュニケーション取り続ければ、必ず良い方向へと向かっていくと僕は思っています」

大切なのは、時間をかけて地域の人に自分たちが描くまちの未来像を伝えること。そして、共感してもらうこと。最近では、地元の20代からもまちへの関心が高まり、宮崎さんの店舗にバイトを希望して来ることも増えたそう。さらに彼らを通じて、そのお父さんやお母さん世代とも交流が生まれ、地域内のネットワークがますます広がっています。

負荷があるほうが“価値”になる

ここまで聞いて、「都市部だから人が集まるのでは?」と思う方も多いはず。しかし、宮崎さんが代表理事を務める「日本まちやど協会」には、鹿児島の離島である甑島(こしきしま)でまちやど「FUJIYA HOSTEL」を運営している人も参加しているそう。

「甑島はフェリーでしか行けない場所。便利さで他の地域と競ったら、絶対勝てっこないんです。わざわざ来てもらうしかないなら、誰にでも刺さるようなことやるのではなく、そこでしかできない事業をつくることが必要。そう考えた『FUJIYA HOSTEL』のオーナーが企画したのは、いわゆる観光ツアーで巡りそうな名所旧跡をあえて一切見ないというツアー。むしろ、都電やちょっとした路地など、そこに暮らしている人が好きな場所を巡っていく。それが人気で、そのツアーを体験しに世界じゅうから旅人が訪れています」

(『FUJIYA HOSTEL』webサイトより引用)

地元の人にとっては見慣れた光景が、外から来た旅人にとっては感動する光景なのかもしれない。宮崎さん曰く、「プラスする『付加価値』ではなく、負荷を感じる方が『価値』になる」。星付きのホテルと戦うのではなく、お客さんに少しの負荷を伴ってもらってでも、その場所でしかできない体験を届けることでオリジナルの価値をつくるのです。

暮らしている人の価値を損なわない観光を目指す

暮らしている人の価値を損なわず、旅人との深いコミュニケーションを生む仕掛けづくりに取り組む宮崎さんは、「これからは、いわゆる観光地じゃないところに新しいツーリズムの種がある」と言います。その手法に、会津美里町でのコンテンツを構想するヒントがあったはず。それぞれのまちの日常が持つ魅力に再注目し、自然体のまちの姿を楽しんでもらうこと、コンテンツとして見立てること、点と点をつないでまちを楽しんでもらうことができれば、会津美里町を旅する人が増えるはず。日本らしい美しい里の風景が残るこのまちの魅力を、多くの人に届けるため、会津美里町ならではのツーリズムの形を描いていきます。

 

文:『会津美里の日々』編集室