会津美里町の魅力を発信すべく、動画撮影を行った3日間。日の出から日暮れまで、撮影スタッフは会津美里町をぐるぐる巡り、魅力的な風景やスポットを撮影しました。どんなところを撮影したのか、その様子をちらりとお届けします。

まずは、旅の醍醐味といえば「食」。その土地でしか食べられないものは、どんな写真よりも記憶に残るもの。旅先で撮った写真を頻繁に見返す機会がなくても、「あそこで食べたアレ、おいしかったなぁ……」と、ふとおいしい記憶がよぎることありませんか?

「腹が減っては旅ができぬ」というわけで、”会津美里の味”を探しに出かけました。

会津美里の味:表メニュー「新鶴ワイナリー」

新鶴エリアにある「ふれあいの森公園」内に、2019年5月にオープンしたばかりの「新鶴ワイナリー」。大きな窓が印象的なレストラン、その窓の向こうにはぶどう畑、壁の向こうには醸造所。ここは”育つ場所”と”つくる場所”、そして”おいしくいただく場所”でもあります。

残念ながら、撮影時には2019年の新鶴産ワインは赤・白ともに完売していましたが、施設内のレストランでは、お肉ほろほろのビーフシチューや会津地鶏のグリルなど、地元の材料をふんだんに使った料理と、会津美里町産りんご100%使用のさっぱりした甘味が飲みやすい「Aizu Apple Wine」や、同じく会津美里町のサンフジを使った辛口タイプの微炭酸シードル「Aizu Cidre」のマリアージュに舌鼓。

実は撮影時、何人か「お祝いの贈り物に、ワインを買いたいのですが……」と、尋ねる地元の方の姿が。ここが大切な人やお世話になった人に誇れる、新しい名所にはやくもなっていることが感じられました。

会津美里の味:表メニュー「生江食堂」のラーメン

地元の人が太鼓判を押し、近隣のまちからも足を運ぶ人が絶えない、会津高田エリアにある「生江(なまえ)食堂」。オープン時間はなんと朝の8時! なんでも、会津美里町には「朝ラー(朝にラーメンを食べること)」なる文化があるのだとか。

訪れた時間帯がお昼どきとあって、店内は満席。おばあちゃんたちが忙しそうにラーメンを運んでいる姿を、ほっこり気分で眺めていると……やってきました我らのラーメン!

さっぱりしつつも旨味がしっかり詰まったスープに、やや太めのちぢれ麺。「うまっ!」夢中で麺をすすっていたところ「どっからきたの?」と、店のお父さん。ほっぺを麺で膨らましながら「東京からです」と答えると、「かぼちゃ持ってくか?」。

かぼちゃ? えーっと、ラーメンにかぼちゃは入ってい…ないよな……と、考えていたら、お父さん「よっしゃ」とひと言残し、店を出ていってしまいました。

あっという間にラーメンを完食し、「お父さん、どこへ行ったのかなぁ」と、店の外に出てみると……。

立派な赤かぼちゃを、豪快に割っているお父さんの姿が! しかも赤かぼちゃの数がひとつふたつじゃありません。カゴいっぱい!

「はい、これ持って行って」。

撮影スタッフ全員、袋パンパンに赤かぼちゃとじゃがいもを抱え、顔がほくほく。

東京に戻り、いただいた赤かぼちゃは煮物やポタージュに変身。その甘さに驚きながらも「またお店に行きたいなぁ……」と、お父さんの顔が浮かぶのでした。

会津美里の味:裏メニュー「ニシンの山椒漬け」「みしらず柿」

2018年に開催した「会津美里町 まちの編集室」で、まちの人たちに「会津美里町の好きなところ、人に教えたい場所やものは?」と尋ねたところ、声を揃えて挙がったのが「ニシンの山椒漬け」「みしらず柿」。

“会津美里町の味”を代表するフードなのに、なぜ”裏メニュー”かというと、これらは家庭の味だから。「ニシンの山椒漬け」も「みしらず柿」も、みんな家でつくって食べるものなので、食堂やレストランで見かけることは少ないのです。

今回、この会津美里町のソウルフードをつくってくださったのは、岸光子さん。会津高田に生まれ、お隣の会津本郷に嫁いできて50年。かつて宗像(むなかた)窯に務めていたという岸さんは、7代目の奥さまにニシンの山椒漬けを教わったそう。

近所のお母さんにも「みっちゃんのにしんの山椒漬けは最高だよっ!」と評判で、1年に100本ものニシンを漬けて、お裾分けするのだとか。

身欠きニシンと裏山で採れた山椒の葉を、交互ににしん鉢に敷き詰め、みりん・しょうゆ・酢を合わせたタレで浸し、最後に石で重しをする。最近では、プラスチック製の密閉容器でつくる家庭が多いそうですが、岸さん曰く「やっぱりニシン鉢で漬けるほうがおいしい」のだとか。

岸さんは、昭和47年に宗像窯を退職するときに贈られたニシン鉢をずっと愛用しています。

そして、ずっと謎だったのが、”渋柿なのに甘くなる”という「みしらず柿」。岸さんに「みしらず柿を”さわす”と、甘くなるんです」と教わっても、撮影スタッフの頭のなかは「?」でいっぱい。

よくよく話を聞いてみると、”さわす”とは、皮がついたまま焼酎をまぶして寝かしておくこと。え? 柿が酔っ払って甘くなるってこと……? ますます「?」が増えるスタッフ陣。

百聞は一見にしかずということで、岸さんに用意していただいた「みしらず柿」をひと口。「あまい! どうして!?」ますます謎が深まるのでした。

 

文・写真=小西七重