会津美里町を撮影した3日間。はじめての味、景色にどんどん刺激され、五感がどんどん敏感になっていきました。そのなかで、印象に残ったのが会津美里のまちなかで聞こえた様々な音です。

カサカサ、落ち葉。伊佐須美神社

撮影時期がちょうど落葉の季節とあって、伊佐須美神社の境内は銀杏の落ち葉で黄色のじゅうたんが出来ていました。

参道をほうきで掃除する宮司さんの側には、真っ白い猫の”シロちゃん”。岩代国一之宮として、また、「会津」のルーツとして古くから地元の人に信仰されてきた伊佐須美神社は、今でもまちの人の心の拠り所。子どもが境内で遊んでいたり、毎日の参拝が日課になっているおじいちゃんがいたり、”暮らしのなか”にある神社です。

そして全国的に知られているのが、先代の宮司さんがつくられたという御朱印。通常、御朱印は御朱印帳の1ページにおさまるものですが、伊佐須美神社は違います。見開きの中央にいただくのです。

「神が宿り、先祖が集うこの場所で、たくさんの人や縁を結び、つながってほしい」と、にこやか顔の宮司さん。そんな言葉を表すかのように、境内には地元の人、御朱印を求めて訪れた旅人、そして猫やニワトリまでが思い思いの時間を過ごしていたのでした。

シャラシャラ。じゃらんかけ

焼き物で知られる会津本郷エリアを歩いていると、どこにいてもシャラシャラと水の音が聞こえてきます。音に導かれて水路をのぞくと、なにやらキラキラと光るものが……。

水路には「じゃらんかけ」と呼ばれる、割れた陶磁器のかけらがいくつも沈んでいました。じーっと目をこらして観察していると、ちょっとレトロな柄があったり、なかにはかなりの年代物もあったりして、まるで小さな博物館のよう。

水路のみならず、歩いていると足元にも陶磁器のかけらがたくさん。会津本郷エリアの散策は、なんだか宝探しをしている気分にさせてくれます。

ケーッ! 白鳥の鳴き声

会津美里町には白鳥がたくさんやってくる――。そんな話を聞いてはいたものの、実際にその姿を目撃すると「こんなに大きな群れなの!?」と驚くほど、早朝の田畑は白い白鳥で混み合っていました。

スズメの「チュンチュン♪」よりも、ニワトリの「コケコッコー!」よりも、白鳥の「ケーッ!」という鳴き声が、会津美里町に朝がやってきた合図。

こんなに数多くの白鳥を目の前で見たことがなかった撮影スタッフ。しばし車の中から見物していたのですが、落穂で朝食を済ませた白鳥は「いってきます〜」と言わんばかりに、会津美里町の広い空を優雅に飛びたっていきました。

カタン、コトン。只見線

撮影をしていると、カタン、コトン――と遠くから只見線の音が山にこだまして聞こえてきます。1日の本数が決して多いとは言えないローカル線ですが、それゆえ、どこにいても音が聞こえると嬉しくなって、「あ!」と景色のなかに電車を探してしまうのです。

平たく広がる田畑のなかを、のんびり走るその姿は、愛らしいのひと言。1日中あちこちで撮影していた私たちは、いつしか”只見線ウォッチャー”に。一両編成の運行がほとんどと聞いていたものの、只見線を見つけては「2両だ!」「いや、こっちは3両だ!」「わ〜! 見たことないラッピングバージョンがやって来た!」と、思わず大はしゃぎ。

旅のはじまりも、終わりも運ぶ只見線。後ろ髪をひかれながら旅先を後にする人たちの、どんな思い出を乗せて走ってきたのでしょうか?

「どんな旅人を乗せてきたの?」

いつか、只見線に聞いてみたい……。

文・写真=小西七重