会津美里町情報発信人材育成の取り組みとして、「まちの発信をする人を増やす」ことを目標に開催するプロジェクト『会津美里町 まちの編集室』。

第4回ワークショップでは、フリーランス編集者の小西七重さんが登壇。日々全国各地を飛び回りながら取材を行い、書籍や雑誌、Webを通して読者にその魅力を届ける小西さんが、短い文章で伝えたい想いを表現するためのコツを紹介。参加者は、「会津美里で伝えたい10のこと」のキャッチコピーづくりへの取り組みに学びを活かします。

タイトルや見出しは、読者を導く“案内板”

 

「本や雑誌にはタイトルや見出しがありますよね。あれは読者に『このページにはこういうことが書いてありますよ』と伝えるためのもの。いわば、読者を記事の入り口から奥へと導く“案内板”としての役割があるんです」

さまざまな要素が混ざり合った大きなものをひとつの言葉で言い表すのはそう簡単なことではありません。これまで数多くの媒体で執筆・編集をしてきた小西さんも、「タイトルや見出しを付ける時が、一番悩む」のだとか。そして、迷った時、小西さんが心がけているというポイントが、次の3つ。

・そのページで一番言いたいことをコンパクトに伝える
・伝わりにくい内容は、簡単な言葉で表現する
・時には、みんなが知らないことが武器になると考える

「読者がパッと見ただけで記事の内容が把握できるような見出しを狙い、専門用語をなるべく使わずに誰にでも分かりやすい言葉で簡潔に表す。みんなが知らないであることを逆手にとって、『◯◯って知ってる?』と投げかけてみるのも、相手の好奇心を掻き立てたい時に効果的な方法です」

想いを表すための4つのコツ

 

では、文章を書く際に実践していることは? 4つのコツを教えてもらいました。

①ひらがな・カタカナ・漢字に変換して比べてみる

例えば、気ままな旅を表す同じテキストが、このように。
「3つの文を比べてみると、それぞれ微妙に違うニュアンスなのが分かりますよね。ひらがなにすると柔らかい印象になり、漢字が続くと堅い印象になる。同じ言葉でも、置き換えるだけで全く違う印象になるんです」

②言葉を入れ替えてみる

「『あけび』という言葉を最初に持ってくるのか、最後に持ってくるのか。配置する場所によって、あけびに対する書き手の気持ちが変化して見えるのが面白いですね」

③類語を調べる

「言葉選びで大切なのが、『別の言い方にしたらどうなるかな?』と、考えること。ひとつの物や感覚を表現する言葉はいくつもあるので、自分のなかでストンと落ちる言葉を探してどんどんストックを増やしましょう」

④写真と一緒に考える

「常にイメージと一緒に言葉を考えます。例えば、同じ写真でも言葉によって印象が全然違う。左の写真を見た人は、撮影したのが地元の人だということが伝わります。一方、右の写真は言葉が短くてインパクトはあるけど、外から来た人が撮影したのかもしれない。写真と文章が組み合わさることで、読者の想像が一気に膨らませることができます」

モヤモヤした気持ちに名前を付ける

 

レクチャーの後は、「会津美里で伝えたい10のこと」のキャッチコピーづくりにとり組みます。「勝っても負けても幸せ♡ 巨大大俵の綱引き大会」や「にしん鉢ってなーんだ?」など、小西さんから学んだコツがさっそく実践として表れていました。

参加者のなかには、会津美里の白鳥を撮影し続けて4年目という人も! シベリアから寒さを逃れて会津美里に飛来する白鳥たち。その白鳥たちを「北の旅人たち」と名付けた様子には、愛を感じます。

「写真や文章を眺めていると、その人の暮らしの営み、人格が見えてくる」と小西さん。それは、情報とは別に言葉の隙間から勝手に溢れてくるものなのだとか。

大切なのは、その時に感じたフワフワモヤモヤとした感触を大切に、一番しっくりくる言葉を探し続けること。そうやって少しずつ言語化することで、一人ひとりの発信スキルが磨かれていくはずです。

文:原山幸恵(tarakusa)