「大好きなまちのことを伝えたい」「まちの魅力をもっと知ってほしい」。そう思いながらも、どう発信すればいいのか分からないと感じている方は多いのではないでしょうか?

『会津美里町 まちの編集室』は、会津美里町情報発信人材育成の取り組みとして、「まちの発信をする人を増やす」ことを目指して開催するプロジェクト。まちに想いを寄せる一人ひとりの発信力をセミナーとワークショップを通じて高め、つなぎ合わせ、まち全体の発信効果を高めていくことが目的です。

第1回のワークショップでは、地域文化やまちづくりといったジャンルのメディアを編集するtarakusa株式会社の柿原優紀が登壇。これまで制作してきたローカルメディアの事例をもとに、発信する時に大切なポイントを具体的に紹介。会津美里町の魅力発信の形を参加者とともに探していきます。

なんのために発信するの?

 

「各地のまちが抱える課題には、人口減少や少子高齢化、空き家の増加、商店街・繁華街の衰退などが挙げられ、そのスケールの大きさに、『何ができるんだろう….』と尻込みしてしまうこともありますよね。でも、それぞれのまちがそれぞれ発信を行うことで、そのまちにしかない本当の魅力を伝え、まちを少し元気にできるのではないかと思います」

現在、日本の市町村の数は1,741(2016年10月10日時点)。オンリーワン、1/1,741の存在として会津美里町にしかない魅力とは? そして、それを魅力的に発信する方法とは?

そこにあるものを面白がる

 

まちの魅力を探すとき、歴史的建造物のような分かりやすい有形のものにばかり目がいったり、それがゆえに、「あまりない」「なにもない」と言われてしまうこともありますが、有形物の魅力だけではなく、無形の文化にも目を向けて見るべきだと柿原は言います。

これまでに柿原が制作してきたメディアから例を挙げると、例えば、小さくても輝くオンリーワンな村々が加盟する『日本で最も美しい村連合新聞』。「日本で最も美しい村連合」では、①人口が1万人を切っている小さな自治体である、②有形無形に限らず、未来に繋げるべき文化がある、③連合が評価する地域資源を活かす活動がある、という基準が設けられています。そして、新聞では、美しい景観や文化を取り上げ、発信しています。

「地域の人が『うちの地域には何も無い』と話す時、ほとんどの人が有形のものを指していることが多いのですが、決してそれだけがまちの魅力というわけではないのです」

また、そのまちの個性にスポットを当てることも大切。例えば、岐阜県飛騨市の文化を紹介するブック『つくる?』では、“飛騨の匠”と呼ばれるほど、ものづくりの文化が盛んな地域の個性を前面に出しています。

このまちにしかないものを、どう面白がるのか。そこにどうやって愛を乗せて発信するのか。そのふたつのポイントこそ、発信するうえで大切なこととだと柿原は言います。

本当に伝えたいものを見極める

 

では、会津美里町にはどんな魅力があるのでしょう? ワークショップに集まったのは、地元の主婦やIターンしたばかりの行政職員、まちのインフーションセンターの職員、地元の歴史について詳しいお父さんたち。まずはそれぞれに会津美里町で自分が見せたいと思うもの、伝えたいものを思いつくままに書き出してもらいます。

「会津美里町といったらこれだよね」
「私、こういうところが好きだなぁ」
「おっと。これは忘れちゃダメだね」

最初は真っ白だった模造紙が、まちの「大好き」でどんどん埋められていきます。天皇・皇室への献上柿としても名高い「見知らず柿」、日本一大きな「高田梅」、新開橋から川底に見える「じゃらんかけ(陶器の欠片)」、くじらの肉とじゃが芋が煮込まれた「くじら汁」、郷土料理であるにしんの山椒漬けをつくる時に使う専用の「にしん鉢」、お正月のお祝いに子どもが藁でつくった蛇を持って家々を回る「蛇の御年始」。途中、「これって何ですか?」と言う若者に、お父さんたちが得意げに教えてくれる場面もありました。

書き終わった後、模造紙を眺めながら「こうして見ると、結構色々あるんだね!」と嬉しそうな表情を浮かべる参加者たち。でも、これらはほんの一部にすぎません。まだまだたくさんの「会津美里町にしかないもの」が、皆さんの心のなかにきっとある。有形無形に捉われず、日々のなかで感じる「まちの好きなところ」を発信すれば、このまちならではの表情が見えてくるはずです。

文:原山幸恵(tarakusa)